石の中から生まれた石猿、もちまえの勇敢さを発揮して猿のボスになった。が、何か物足りない。この世の中には猿よりえらい人間というのがいるという。よし、それならというので一念発起、仙術の修業に出た。首尾よく仙人に弟子入りして修業にはげみ極意書をさずけられて、孫悟空と名のる。
はるばる訪ねてきた幼なじみのリンリンに仙術の腕を見せたくて、天界をさわがせ、二郎真君に追われ、あげくのはては、お釈迦様によって五行山に封じ込められてしまう。
リンリンの運んでくれる木の実でわずかに露命をつなぐ悟空であったが、観音様のはからいで、天竺に経文をとりに行く三蔵法師のお供をすることになった。途中、ブタの化け物猪八戒、人喰いの沙悟浄を降参させて供に加え、一行は天竺へと砂漠を越えて旅を続ける。
火炎山まで来たとき、噴火が始まり一行は溶岩流にとりかこまれてしまった。このままでは危ない。この危機を脱する方法は唯一つ、牛魔王の妻君ラセツ女が預かって持っている芭蕉扇を使うしかない。さっそく悟空と八戒が出かけ、ラセツをだまして首尾よく手に入れるが、牛魔王の子分、小竜に奪われてしまった。小竜はほうびが欲しかったのだ。
その間に、師匠の三蔵法師は牛魔王にさらわれてしまっていた。牛魔王は三蔵法師を食って、三千年の命を得ようとしていたのである。その大宴会の場へ、悟空、八戒、沙悟浄の三人が乗り込んで大暴れ、悟空は牛魔王と対決して、怒って牛の正体をあらわした牛魔王を火炎山の噴火口に屠(ほふ)った。任務を果たした悟空は、リンリンの待つ水簾洞へと駆け戻る。
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マンガ界の巨星手塚治虫の「ぼくの孫悟空」をベースに、おいおいに力をつけつつあった、東映動画初期一回目の黄金時代に若い芸術家たちのエネルギーが結集した痛快娯楽大作。
ストーリーボードを手塚治虫自信陣頭に立って描き、また現場のスタッフには、のちにわが国のアニメーション界を背負うことになる優秀な人材が大挙参加しているというのも見過ごせない。いわば日本のアニメーション映画の原点のひとつ、娯楽的側面でその将来を大きく展望させた記念碑的作品。
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昭和35年度作品(1960)作品
上映時間 88分
受賞内訳
(海外)
ベニス映画祭特別大賞
(国内)
文部省選定・優秀映画鑑賞会推薦
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